こんにちは。しいままです。
我が家の小学6年生の娘は、「起立性調節障害」という病気で病院に通っています。
起立性調節障害って聞いたことありますか?
聞き慣れない病名ですよね。
私は娘が診断されるまでこの病気の名前を聞いたことがありませんでした。
現在、中高生の10%にあたる約70万人がこの病気を発症しているそうです。
もしかしたら気づかないだけで、みなさんの周りにもこの病気を患っている人がいるかもしれないですね。
私は専門家ではないので、病気についての詳しい話は専門家にお任せしますが、今日は現在進行形で病気と付き合っている娘の親の立場から「起立性調節障害」を見つめてみたいと思います。
Contents
起立性調節障害ってどんな病気?
そもそも「起立性調節障害」とはどんな病気かと言うと、
起立性調節障害(OD/Orthostatic Dysregulation)とは、小・中学生くらいの、思春期頃に発症しやすい自律神経機能不全です。起き上がったり立ち上がったりする瞬間、血圧が一気に下がることから、とくに、朝起きる時一番つら症状に襲われます。朝だけでなく、目覚めてからの長い時間、頭痛、眩暈、身体のだるさなどが生じ、日常生活に大きな支障が出ることも少なくありません。そして、適切な治療を受けないと、悪化の一途をたどる可能性が高いのです。
参考書籍:『朝起きられない子の意外な病気』武香織著
朝は頭痛や眩暈で起きられないけれど、午後になると元気になる。そして夜はテレビを見てゲラゲラ笑ってみたりゲームで遊んだり・・・。
夜は早く寝つくことができず遅くまで起きているから当然次の朝は起きることができなくなってしまいます。
起立性調節障害の子は脳血流や全身への血行が悪くなっているのですが、身体を横にすると全身への血流が回復し辛い症状がやわらぎます。
それゆえごろごろと横になることも多く「怠けている」と誤解されてしまいがちなんです。
朝起きられずに遅刻や欠席を繰り返すため、勉強も遅れてしまうし友だちから孤立してしまうこともあり・・・。
うつ病を併発してしまうこともありますし、「不登校」「引きこもり」の原因の一つにもなってしまうとか。
起立性調節障害自体は、命にかかわる病気ではありません。
体の成長が止まってくれば症状も改善され、成人になれば症状が全くなくなる人もいるそうです。
適切な対処と治療を受けることで、生活に支障を来さないように症状を軽減させることもできると言われています。
現在我が家の娘は月1回通院して「血圧を上げる」薬を飲んでいます。
風邪のように薬を飲んだからといってすぐに良くなるわけではありません。おそらく長い付き合いになると覚悟しています。
でも、小学6年生という早い段階で発覚したことはある意味良かったなあ、と思っています。
次からは娘の病気がどのように発覚したのかお話していきますね。
娘の病気の発覚
この病気のお子さんの中には、今まで朝はスパっと起きてきてスポーツも大好きな元気な子供だったのに・・・、というケースが多いようですが、うちの娘は小さい頃からどちらかと言うと朝は苦手な方だったので5年生くらいから朝の目覚めが悪くてもあまり気にとめていなかったんです。
ただ、学校が休みの日は外に遊びに行くわけでなく、1日家にいてベッドに横になっているといつの間にか眠ってしまうので、それは少し気になっていました。
たびたび頭痛や腹痛を訴えることもありましたが近くの市立病院に連れて行っても、
・「喉がちょっと赤いね、風邪でしょう」と言われ風邪薬や頭痛薬を処方される
・「お腹のレントゲンを撮ってみましょう」→「ああ、お腹に便が溜まっていますね」と言われ整腸剤を出される
こんなやり取りの繰り返しでした。
でも、6年生の夏休みが終わり新学期が始まって1週間たったある日のこと。
お腹の痛みを訴える娘の顔はいつもと違っていました。
尋常じゃないその様子に何だか危機感を感じ、学校を休ませ今までと違う病院を受診してみようと考えました。
娘を産んだ病院は我が家から車で40分ほどの所にあるのですが、そこの小児科に診せに行こう、と思って車を走らせました。
娘を診てくれたのは若い女医さんでしたが、今までの経過を話すと娘にいくつか質問をした後に、「起立性調節障害」かもしれませんね、と言ったのでした。
「起立性なんですか?」と初めて聞いた言葉に戸惑っている私に、
「ああ、自律神経失調症の一種で、思春期の女の子に多い病気なんですよ」と。
自律神経失調症って言ったら私の中では大変な病気の部類です。
娘がそんな大変な病気なの?
私が考えていることを察したのか、女医さんは
「大丈夫ですよ。ここに通っている子の中にもいますけれど、みんな徐々に良くなっていますから」と。
まずは血圧の検査をして起立性調節障害だと確定したら治療を始めましょう、ということで5日後に検査をすることになったのでした。
診断されて薬を飲み始める
約束の5日後に再び病院を訪れました。
別の日に改めて検査をするっていうから、何か特別な機器を使った検査をするものと思っていたのですが、この時受けた検査は、
①まずベッドに横になり、10分経ったところで血圧と脈拍を3回測り平均値を取る。
②次に、起き上がって直立不動の姿勢になり、その直後に1回、それから3分後、5分後、10分後に計測していきました。
これで、立ち上がった瞬間の血圧の状態と、それ以降、どれくらいの時間をかけて安静時の血圧に戻るかがわかるようです。
娘は立ち上がった瞬間に血圧が下がり、回復までに時間がかかったようで「起立性調節障害」と確定しました。
そしてその結果、娘に処方された薬はメトリジンという血圧を上げる薬でした。
実のところ、薬を飲んだからといって劇的に症状がよくなるわけではありません。
でもそれまで、
どうしてこの子は寝てばかりいるんだろう?
具合が悪い原因は何だろう?
何か大変な病気なのかしら?
と不安だっただけに、原因がわかったことで親子ともにある意味安心しました。
病気と付き合う生活
まずは血圧を上げる薬を飲むこと、そして生活習慣を変えることから始めましょう、と女医さんに言われました。
お医者さんに言われた気をつけることは・・・
・夜遅くまで起きているのは望ましくないので、22時30分までにはベッドに入ること。
・携帯やipadなどのブルーライトの出るものは21時以降は見ないこと。
・朝起きれても朝食が食べられないような時でも、塩分の入ったスープだけでもお腹に入れるようにすること。
こうしたことに気をつけて生活することで、朝型にシフトしていければいいのですが、なかなかうまくいかないのが現実です。
病気がわかる前に比べれば、「もう23時くらいになれば眠くなるよ」と娘は言いますが、普通の子より身体が疲れやすいので、1日健康な子と同じ生活をすると疲れきってしまい夜も19時頃に夕飯も食べずに寝てしまいます。
そうすると夜中に目が覚めて起きてしまうので朝起きれない・・・。
かと言って途中で起こすと朝と同じように頭痛や腹痛、嘔吐という症状が出てしまう、という悪循環。
体の発育は昔に比べて早いですが、知能はまだ幼いので、力の使い方を自分で調節することなんて不可能です。
思いっきり遊んでしまった場合、次の日は起こさなければ夕方まででも平気で寝ています。
結構深刻な病気だなあ、と思い知らされた例をひと紹介します。
地元のお祭があった時、娘はお友達と夜まで楽しそうに遊んでいました。
私は、かなりテンション高いけど大丈夫かな?って内心心配していたのですが、やはり次の日は起きることができませんでした。
次の日は別のお祭りがあり、娘は友だちと一緒に行く約束をしていたのですが、腹痛もあり起きることが出来ずドタキャン。
娘の友達たちは、連日のお祭りを元気に楽しんでいました。
その姿を見たとき、「普通子供ってこうだよね~」と思い、娘がとてもかわいそうに思えました。
後で知ったのですが、約束していた友だちから「○○(娘の名前)はドタキャンするからもう誘わない!」とメールで言われたそうです。
友だちからすれば当然かも知れませんが、この病気はストレスで悪化すると言われているので、この話を聞いた時はショックでしたね。
知ってもらうこと&話を聞いてもらうことの大切さ
最初娘は病気のことを人に知られることをひどく嫌がっていました。
でも、学校を休むことや保健室にお世話になることが多いのは病気のせいであり、けっして仮病でも怠けでもないことを友だちにわかってもらいたくて、最近では自分で病気の説明をしているようです。
担任の先生には診断されてすぐに話をしたのですが、やはり先生もこの病気のことを知りませんでした。
最初、学校を休むことで勉強が遅れることを心配していた様子ですが、先生も病気について勉強してくれているようでこの頃では残り少ない小学校生活を楽しく過ごせるように、1時間でもいいから学校に来れるといいですね、と言ってくれています。
私自身も娘が病気だという事実を突きつけられた時、娘のためというより、自分のためにあまり人には知られたくないと思いました。
でも、自分一人で悩んでいても落ち込むだけだしストレスが溜まってしまうでしょう?
だから、娘と同じように自分から話すことにしたんです。
そうしたら、同じ病気ではないものの、病気を抱えていて大変な娘さんの話をしてくれた友人もいたりして、悩んでいるのは私だけではないんだな、と思えるようになり気持ちが楽になりました。
娘は月に1回、学校に来てくれるスクールカウンセラーの先生のカウンセリングを受けています。
深刻な話をするわけではないのですが、1時間話を聞いてくれるだけで娘の気持ちも落ち着くようです。
病気と付き合うって本人も家族も大変ですよね。
でもオープンにすることで、自分たちだけでは解決できないことも解決策が見つかったり、新たな情報をもらえたりするんです。
それにもしかしたら、娘と同じ病気だけど誰にも気づいてもらえていない子が、病気だと気づいてもらえるかもしれないと思いませんか?
この先のこと
スクールカウンセラーの先生との最初の面談の時、私も一緒に行ったのですが、娘が左利きで粘土で小物を作るのが好きだという話をしたんです。
そうしたら、「あなたはアーティスト系なのね。大丈夫よ、勉強できなくても生きていけるわよ!」って明るく言ってくれたんです。
カウセリングっていうともっと深刻な話をするのかと想像していただけに、呆気にとられたというか、ピーンと張り詰めていた緊張の糸が良い意味で切れた気がしました。
幸いなことに、娘を診てくれている小児科の女医さんはご自身も頭痛や眩暈に悩まされる辛い経験をお持ちのようで、娘の話を真剣に聞いてくれますし、小学校に来ているスクールカウンセラーの先生は娘の行く中学校のカウンセラーもしているので引き続き話を聞いてもらえます。
先日、中学校の校長先生と教頭先生にも話をさせてもらいました。
今のところ、平均して週に1日は学校を休んでいる状態です。
中学生になって新しい環境で娘の症状がどうなるのか予測はできません。
でも、病院と家庭と学校で連携して娘を支えていけたらいいなあ、と考えています。
娘の粘土作品たち
まとめ
起立性調節障害は、思春期頃に発症しやすい自律神経機能不全です。
朝起きることができず遅刻や欠席を繰り返し、不登校やひきこもりの原因になることもあります。
全国で約70万人が発症していると言われていますので、あまり知られていないだけでみなさんの周りにも実はこの病気の子供がいるかもしれませんね。
もし次のような症状に思い当たることがあるようなら、一度検査をしてみるといいかもしれません。
・朝なかなか起きられず、午前中調子が悪い
・立ちくらみ、あるいはめまいを起こしやすい
・身体がだるい、疲れやすい
・食欲がない
・立ち上がった時や立っている時、気持ちが悪くなる、失神する
・少し動くと心臓がドキドキする、あるいは息切れがする
・頭痛がある
・夜に寝付けない
・イライラ感や集中力低下
・入浴時や嫌なことを見聞きすると気分が悪くなる
・おなかが痛い
・顔色が悪い、青白い
起立性調節障害は命に関わる病気ではありませんが、中学・高校という大切な時期に普通の生活を送れないということがどれだけ辛く厳しいことであるか・・・。
私たちが想像する以上に大変なことだと思います。
娘はまだまだ病気と向き合って生きていかなければなりません。
そんな中、なんとかしなくちゃいけない、と一番思っているのは娘自身でしょう。
だからどんな時も私は娘の味方であり続けられるよう、一層勉強しなくちゃ!と思っています。
※平成29年7月現在、娘は中学2年生になりました。その様子は下記の記事も読んでみて下さい。
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